つきもと控帖

オリックス・バファローズとか旅行とか

推し活卒業宣言

 

2020年の秋から始めた推し活は、2022年の夏に終わった。

 

リアルで推したい人ができたから、というのが一番大きな理由かもしれない。でも今日はその話は書かない。きっと3年後くらいの自分が、「そんなこともあったなぁ」と、苦虫を噛み潰したような顔で書いてくれると思う。

 

さて、私が2年間推してきたその対象とは、言わずもがな「欅坂46/櫻坂46」のことである。

 

欅坂46に初めて出会ったのは、2019年の夏頃。一般人に擬態するためには色んな曲を知ることが必要だなと思い、とりあえずバファローズの選手登場曲を片っ端から聴いていた。その時田嶋投手が登場曲にしていたのが、欅坂46の「ガラスを割れ!」。ああアイドルっていいかも、と思ったけどそのときはまだハマらなかった。もしこの時欅坂にハマっていれば、あの伝説のライブに参加できただろうし、そして直後一気にどん底に落とされていただろうな、と後悔半分・安堵半分である。

 

坂道グループにハマったのが、2020年の夏。TikTokで無為に時間を潰していた時、乃木坂の番組切り抜きが流れてきたのが事の始まりである。これをきっかけに乃木坂の冠番組を過去6年分見漁りMV集を買い、そして今は日向坂がアツいと知りCDを買い叩いた。アイドル中心の生活が始まった。

そして欅坂との運命の出会いは、ふとおすすめに出てきたサイレントマジョリティーのMVだった。いやド定番じゃねえかとツッコまれるかもしれないが、結局人はいいものに惹かれていくのである。既存のアイドル観をブチ壊し、今や1.7億回再生の伝説のMV。私はここから欅坂の陰鬱とした世界観に引き込まれ、2年の沼にハマることになる。

 



欅坂にハマってからグループのことを調べていくうちに、色々なことが分かってきた。2016年のデビュー直後に一世を風靡したこと。その中心に居た人物こそが平手友梨奈だったこと。平手至上主義が次第にグループを蝕んでいったこと。そして、このグループの余命はあと1ヶ月であること。

 

推し活でたった1つ後悔しているとすれば、欅坂46のLAST LIVEを見なかったことだろう。2020年10月の上旬といえば、まだ私の気持ちは欅坂より日向坂の方にあり、どうせ消えていくグループのことなんて追わなくていいかと、いつもの逆張り精神で配信チケットを買わなかったのだ。

 

その後、新生欅坂こと櫻坂46に生まれ変わったグループを見て、このグループを推していこうと決めた。昔から何をするにも後追いだったから、たまには何かのスタートアップから見てみたいと、そんな気持ちが強かった気がする。

 

そこから色んなことを体験した。2021年9月には人生初のライブコンサートに行き、それはもう言葉には言い表せないくらいの感銘を受けた。ライブと毎週末の冠番組が生き甲斐になった。いつぶりだろうかというくらいにゲームにも熱中した。Twitter経由でフォロワーさんにもたくさん会えた。何より、好きな曲をかけながらのドライブが一層楽しくなった。推しがいる日常がこんなに素晴らしかったのかと、人生が急激に彩られた"気がした"。

 

 

そして今年の8月、モチベーションが忽然と消えた。

 

 

きっかけは何だっただろうか。7月末に予定されていたライブが中止され、糸がするするっと解けていく音がした。その振替公演で、ファンの民度が原因で炎上して、同族嫌悪になった。本業である研究を追い込まなければならない時期が続き、研究とゲームのモチベーションが入れ替わった。あるいは、いつまで経っても過去の自分たちと比較され続け、しかし人気になる見込みがないグループに嫌気が差したのかもしれない。

 

今思うに、一気に熱量を注ぎ込みすぎたんだと思う。今年になって安定した収入が得られるようになって、財布の紐が緩んだ。CD、ライブ円盤、写真集、グッズ、色んなものを買い漁った。そして今秋のアルバムツアーは7公演に申し込み、そのうち6公演も当選してしまった。

自分のキャパに対して、供給を自分で増やしすぎたんだろう。バカなことだ、何事にも限度はあるってのに。

 

でも、推し活をやめるということが悪いことだとは思わない。別にグループやメンバーが嫌いになったわけではないし、何より欅坂・櫻坂の音楽は好きなままだ。この2年間の思い出が消えるわけではない。強いて言えば、時間とお金に余裕ができ、自己投資に回せるようになったくらいなもんだろう。

 

さ、研究と就活がんばろう。もしリアルで行き詰まったら、またこの世界に戻ってくるかもしれない。