つきもと控帖

オリックス・バファローズとか旅行とか

ドライブ

 

「趣味は何ですか」と聞かれたら、今の自分ならおそらく「ドライブ」と答えるだろう。

 

免許を取る前は、自分が車を運転する姿などまず想像できなかった。極度の怖がりで反射神経や思い切りも悪く、なのに頭に血が上りやすくて周りが見えなくなる。あるべき運転者像とまるで対極にあった(実際、教習所で受けた適性検査は最も下のランクだった)。だから免許は取るつもりではいたけど、「運転するのは自動運転が実現してからでいいや」とすら思っていた。

 

そんな自分が意欲的に免許を取ろうと思った転機は、2回生の春だった。サークルの旅行で同級生が運転しているのを見て、「ああ運転も悪くないのかな」と思い始めた。

思い立ったが吉日、4月末に教習所に入所し、8月末に晴れて免許を取得。大きな挫折をすることもなかった(1度だけ怒られはしたが)のは、自分にしては拍子抜けだった。

 

 

車の運転が好きなのは何故だろうか。

 

メカを操縦する楽しさは確かにある。キーを回してエンジンを起動し、ギアを入れてアクセルを踏む。ロボットほどではないけれど、男心くすぐるアクションであることは間違いない。

 

外界との隔絶感というべきか、包み込まれている感覚も好きだ。あれほど小さい空間に閉じこもれるのは、日常生活では車かクローゼットの中だけだろう。大雨の日なんて特に、中と外の隔絶感が強調されてなお良い。人間一人では生きられないけど、孤独でいる時間だって大切だと思う。

 

でも一番大きな理由は、運転中は雑念をシャットアウトできるからだと思っている。運転中はハンドルの操作や状況判断に脳のリソースが割かれて、雑念がごっそりと抜け落ちてくれるのだ。だから一人で物事を考えるときも、誰か他の人と話すときも、深く考えすぎることがない。

私は、人と話す時に深く考え込んでしまうきらいがある。こう言って相手は不快にならないか、話の流れを切ってないか、話を理解してもらえるか、などなど…。もちろんこれらは以前の失敗体験からくる不安なのだが、しかし対面でのコミュニケーションというのはものの数秒で移り変わるもの。長々とこんなことを考えていてはコミュニケーションが成り立たないので、運転しながらだと言葉が口を衝くように出てくれてとてもありがたい。

だから多分私は、手持ち無沙汰になりがちな助手席より、運転席の方が気楽にいるかもしれない。

 

EVや自動運転の時代はもうすぐそこまで迫っているけれど、時間があるうちはたくさん色んなところに走りに行こうと思う。